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期末時価評価と未実現利益

掲載日:

以前に3回にわたって、会計上の利益がそのままキャッシュの増減と一致しない、ということについての主だった原因を説明したことがあります。
半年くらい間が開いてしまいましたが、その最終回の最後にちょっと触れた有価証券やデリバティブ商品の時価評価に関する問題を、今回は書いてみます。
といっても、全てを書こうとすると長くなるので、今回は主に資金繰り、キャッシュの面から。

 

国内の会計基準を国際的なそれに合わせること。
株主や銀行などの利害関係者(ステークホルダー)に、その会社が現在どのような財務状況にあるのか、より的確に判断できるデータを提供すること。
こういったことを目的として、いわゆる「時価評価」が導入されたのは平成12年4月のことでした。

 

この「期末時価評価」の対象となるのは主に、売買目的の有価証券と未決済デリバティブ取引。

 

前者に関しては、会社が保有している有価証券を、「売買差益を得ることを目的とするもの」と「配当が目的の株式、子会社など関係会社の株式、利息目的で償還まで保有する公社債 等」の2つに大別。
流動性が高くて相場の影響を大きく受ける前者のみを期末の時価に換算します。

 

後者は、期末にはまだ決済はされていないけれども、その時点での(いわゆる)「含み損益」を認識して、同額を帳簿に記載する処理を行います。

 

なる程、その会社へ投資することが是か非かを判断するのには、貸借対照表上に記載されている資産が、実際にはどれくらいの価値があるのかを把握することは、大いに重要な指針となるでしょう。
ですので、会計的には「時価会計」も「減損会計」も、どんどん実施すべきであると私も思います。

 

ただ問題は、税金の計算について。

 

基本的に法人税というものは利益課税であり、事業活動を通じて法人が得た「利益」に担税力を求めて、そこに税率を乗じて税額が算出されます。
この場合の利益とは、その物品やサービスが実際に引き渡されたり実施されたりすることで、その対価の金額と、それを収受することが確定されている取引から生じるもののことを言います。

 

では、上記の株式や未決済デリバティブ取引を、この観点から考えてみるとどうでしょうか。

 

株式は売却を決めたわけではありませんし、デリバティブ取引はまだ決済されていません。
つまり利益は確定したものでは無くて、あくまでその時点での「見込み」に過ぎず、もちろん、現金化もされていません。

 

しかし、現行の法人税法ではこれ等の時価評価に伴って生じた利益や損失は、そのまま税法上の益金または損金として認識することになっています。

 

つまり、仮に有価証券評価益が1,000万あった場合、本業では利益が得られずに100万の赤字だとしても、差引900万円の税引前当期利益が生じたとして、法人税や都道府県民税等が課税されるのです。
確定していない、現金化されていない利益に担税力を求めて、課税をしているわけですね。

 

未実現利益を課税所得に含めて税金を課すのは、未だ現実のものとしては存在しないところに担税力を求めていることに等しいわけです。

 

例えば前述の例であれば、赤字決算となって資金繰り的にも厳しいところに追い打ちをかけて、(極論をすれば)ありもしないキャッシュから税金を納めろと言っているわけですよね。
これは、その会社のキャッシュフローを悪化させ、安定性を損なうことになってしまうのではないか。
私は、そのような違和感をずっと感じています。

 

外部の利害関係者に対する情報提供として損益を認識することはむしろ推進すべきですが、それをそのまま益金や損金に算入するのはちょっと違うのではないか、ということですね。

 

売買目的の株式投資は資金に余裕があるからやっているのだろうし、納税資金が無ければその株を売却すればいい、ということなのでしょうか。
仮に、株についてはそれでいいとしても、デリバティブ取引は即時の現金化が難しいことが多いですし、特に為替予約は、そこまで資金の余裕が無くても行っている会社も少なからずあると思われます。

 

うーん、私見ですが、やはり、これについては法改正をすべき余地がある様に感じられますね。

 

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